田舎の集落に増え続ける外国人と未来 ― 空き家問題と外国人問題を考える

いなか暮らしのススメ

序章:静かな田舎に広がる変化

 私が暮らす田舎の集落は、かつて子どもたちの声でにぎわっていました。

夕方になると、田んぼのあぜ道を走り回る姿が見られました。

しかし今では人口減少と高齢化の影響で多くの家が空き家となり、雑草に覆われた庭が増えています。

そんな風景に、新しい存在が加わりました。

工場や農場で働く外国人です。彼らは自転車で通勤し、スーパーで食材を買い、休日には仲間と集まって談笑しています。

最初は「よそ者」として見られていた彼らも、少しずつ田舎の日常の一部になりつつあります。

「外国人問題」という言葉はネガティブに聞こえがちです。

しかし、田舎の未来を考えるとき、外国人の存在は避けて通れない現実であり、同時に地域再生の可能性を秘めています。

私のプロフィール

 大学新卒で、国家公務員試験に合格し、法務省に2年間勤務。

田舎の地方公務員に転職し。約15年の間マジメそうに勤務。

しかしその風貌から、ハード&ブラック系の部署に回され続ける。

 第2子誕生のとき、当時の男性では珍しい1年間の育休を取得

育児をこなしながらも今後の人生を考えた結果、公務員を退職して独立

コンサルタント会社で1年間の修行を経たのち、地元密着のコンサル事務所(なんでも屋)を開設。


第1章:なぜ田舎の集落に外国人が集まるのか

 田舎の集落では、深刻な人口減少が進んでいます。

若者は都市に流出し、高齢者ばかりが残る地域も少なくありません。その結果、農業、製造業、食品加工、介護といった分野で深刻な人手不足が生じています。

注目される外国人労働者

 そこで注目されるのが外国人労働者の存在です。

技能実習制度や特定技能制度を通じて、多くの外国人が日本の田舎にやってきています。

出身国はベトナム、フィリピン、インドネシア、中国など多岐にわたり、それぞれが田舎の現場を支えています。

 都市部と比べると田舎には空き家が多く生活コストが低いことも、外国人が集落に住む理由です。

外国人にとって田舎は働きやすい場所であり、日本社会にとっても必要な存在となっているのです。


第2章:空き家問題と外国人居住の関係

 田舎の集落では、空き家の増加が大きな社会問題となっています。

総務省の統計でも空き家率は年々上昇し、「集落の半数が空き家」という地域も存在します。

 一方で、外国人にとってはこの空き家が住まいの選択肢になります。

農場や工場の経営者が古民家を借り上げ、寮として提供するケースもあります。

また、外国人家族が直接空き家を借りて生活を始める事例も見られます。

庭を整え、子どもが学校に通い始めると、空き家が再び生活の匂いを取り戻します。

浮かび上がる課題

 ただし課題もあります。

空き家の賃貸借契約時には保証人が必要であり、日本語の壁も高い。

地域によっては「外国人に貸すのは不安だ」という声も根強くあります。

 空き家問題と外国人居住は、課題と希望の両面を併せ持つテーマなのです。


第3章:田舎で働く外国人労働者の実態

 田舎の集落で働く外国人の姿は、意外と多岐にわたります。

 農業では収穫や出荷、工場では食品加工や部品組立、介護施設では高齢者の支援を担っています。

これらの現場は日本人の担い手が不足しており、外国人労働者なしには成り立たなくなっています。

 しかし現実には、低賃金や長時間労働といった問題がつきまといます。

技能実習制度を利用する外国人の多くは最低賃金で働き、劣悪な環境に置かれるケースも報告されています。

こうした問題はしばしば「外国人問題」として取り上げられ、社会全体で議論されるようになっています。

 一方で、田舎で長期的に暮らし、日本語を学び、地域行事に参加する外国人も増えています。

子どもが地元の小学校に通い、親がPTA活動に関わる姿は、確実に地域の仲間として受け入れられつつある証です。


第4章:地域住民が感じる外国人問題

 外国人が田舎に増えることで、地域住民が抱く不安や課題も無視できません。

  • 文化摩擦:ごみの分別ルールを守らない、宗教や生活習慣の違いから摩擦が生まれる。
  • 言語の壁:役所や病院での手続きが難しく、誤解やトラブルにつながる。
  • 治安への不安:夜間の騒音や交通ルール違反が「外国人問題」として取り上げられる。

 しかしこれらは一方的に外国人の責任ではありません。

サポート体制や情報提供が不足していることも背景にあります。

実際に、多言語の案内を導入した自治体や、地域交流イベントを開催した集落では摩擦が減少しており、共生の芽が育っています。


第5章:外国人と共にある田舎の未来像

 田舎の集落に外国人が住むことは、地域に新たな可能性を生みます。

空き家を改修して住む外国人家族は、周囲に活気を取り戻します。

学校に外国人の子どもが通うことで、閉鎖的だった集落に多様性が生まれます。

地域の祭りに参加する外国人の姿は、かつてのにぎわいを思い出させてくれます。

行政もまた、多文化共生を推進し始めています。

多言語相談窓口、日本語学習支援、生活ガイドの整備など、少しずつ支援体制が広がっています。

 外国人が地域に定着することで、田舎の集落は持続可能性を取り戻すことができるのです。


第6章:外国人流入は田舎の希望か、それとも問題か

 田舎における外国人流入は、希望でもあり課題でもあります。

  • 希望の側面:人口減少対策、空き家活用、地域経済の維持。
  • 課題の側面:文化や伝統の変容リスク、サポート不足による摩擦。

「外国人問題」という言葉にとらわれすぎると、課題ばかりが強調されがちです。

しかし視点を変えれば、外国人の存在は田舎を支える大きな力になり得ます。

重要なのは、課題を問題として放置せず、共生の仕組みを整えていくことです。


終章:持続可能な田舎のために

 夕暮れ時、田舎の道路を自転車で通る外国人労働者の姿を見ながら、私は思います。

彼らがいなければこの集落の農業も工場も成り立たないかもしれない。空き家もさらに増えていただろう、と。

もちろん、文化や言葉の壁は存在します。

しかし、それはかつて都会に出ていった私たち自身が経験した「よそ者」としての立場と似ているのかもしれません。

田舎の未来を考えるとき、外国人を「問題」として捉えるのではなく、「共に生きる仲間」として向き合うことが求められます。

多様性を受け入れる勇気こそが、持続可能な田舎をつくる第一歩なのです。

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